高山さんからの手紙
IMCCD 高山さんからの手紙 #043

IMCCD 高山さんからの手紙 #043

辛くて苦しい時期も、必ず抜け出せるときがやってくる

精神的に辛い時期もあった20年間の活動

 みなさん、こんにちは。日本の秋は、栗や松茸、柿など食べ物がおいしい季節ですね。カンボジアは春夏秋冬がないため、日本の季節の楽しみを懐かしく思い出しています。
 さて、私が地雷や不発弾を除去する活動のためカンボジアへと渡ったのは、2002年5月のことでした。長い内戦時代に埋められた地雷や戦闘で使われた不発弾がカンボジアの国土にはたくさん残っていたのです。
 活動は困難の連続でした。最初は英語もカンボジア語も話せず、カンボジアの習慣もわからない状態。カンボジアの人たちはフレンドリーで親切にしてくれましたが、日本人は私一人で、気軽に相談できる人がいませんでした。そんな状態で活動を始めて2週間が経ったころのことです。突然すべてが怖くなったり、不安になったり、動揺するなど、言い知れない感情に襲われました。ホームシックかなと思いましたが、実は心が病んでいたのです。電話で相談しようと思っても「皆さんに応援してもらっているのに」となかなか決心がつきません。なんとか自分をごまかし2年4か月活動を続けたものの、精神状態が悪化し、とうとう2004年9月に帰国しました。

困難を乗り越えることができたのは、数多くの方々の支えがあったから。

 帰国しても状態は良くなりませんでしたが、精神科に通院しながら、広報活動を行っていました。そして帰国して一年半が経ったころのことです。日本の外務省から地雷処理活動の資金が出ることとなり、私は再び現地調査のためにカンボジアに赴くことになりました。
 約1か月の調査を終えたころには、不思議と不安発作はなくなっていました。理由はわかりませんが、この体験は私に大きな勇気を与えてくれたと思います。その後も困難の多い20年ではあったものの、多くのカンボジアの方や日本の方の支えで今日に至りました。感謝してもしきれません。
 みなさんも、辛いと感じることや不安に襲われることがあるかもしれません。しかし、必ず抜け出せるときがやって来ます。手を差し伸べてくれる人もきっと現れるはずです。その体験もいずれ人生の財産となるでしょう。希望を捨てず、前を向いていってほしいと思います。