高山さんからの手紙
IMCCD 高山さんからの手紙 #020

IMCCD 高山さんからの手紙 #020

幸せとは何か、を見つめなおす。

最も暑いと気温が50度くらいに

野田塾のみなさん、お元気ですか。日本には四季があるおかげで、それぞれの季節を楽しむことができますね。カンボジアでは日本のような四季はありませんが、熱帯に位置し、年間を通じて豊かな太陽の恵みを受けています。最高気温は50度くらい、最低気温は14度くらい、年平均気温は27度です。湿度は夜90%以上、昼間は80%。季節は雨季と乾季に分かれ、雨期が4月頃から10月頃まで、乾期は11月頃から3月頃です。12月と1月が最も涼しく、最も暑いのは4月で気温が50度くらいまで上がることもあります。厳しい暑さと高い湿度ですが、体感はそれほどでもないです。私の住む家は、村人から借りている高床式の木造で、2階が私の部屋。朝方は比較的涼しいのですが、午前10時以降は汗で気持ちが悪いくらいになるので、階下の溜池まで行き、水をザブザブかけます。そんなことを繰り返しながらこの原稿を書いています。日本では暑い夏は半袖が普通ですが、カンボジアは38度でも長袖の人が多いです。極度に暑いため、素肌に直射日光を当てない方が涼しく感じるのかもしれません。

雨水を飲み、電気を買う生活

カンボジアに限らず、水は人が生きていくうえで大切なものです。プノンペンなど都市部には水道が来ています。しかし、農村部では水道はなく、川や池、手掘りの井戸水を生活用水、雨水を飲料水として使っています。機械で掘った手押しポンプの井戸も少しずつ増えてきましたが、まだまだ足りていません。雨水はきれいな水という意識が強く、井戸水は沸かせば飲みますが、そのまま飲むことはありません。農村部は朝が早く、薄暗いうちから畑仕事に行きます。午後は暑いので少し早めに畑仕事を切り上げ、明るいうちに夕飯を作ります。農村部では、薪を燃料にしてご飯を炊いたり料理を作ったりします。私の居る地域では、6つの村のうち3つの村には電気が来ていません。この辺はタイとの国境地帯ですから、タイから電気を買っています。

時間に追われないことの幸せ

地雷処理チームも朝6時には宿舎に集まり、宿舎の庭掃除をした後、朝食には持参した弁当を食べます。その後、車で地雷原に行き、11時30分まで地雷探知作業をします。11時30分から12時30分までがお昼休み。そこで残りの弁当を食べます。15時までに宿舎に帰り解散。日本人では、普通15時に仕事が終わることはないので、初めはこのカンボジア時間に慣れませんでした。このように日本とカンボジアでは、微妙に生活習慣が違うので、郷に入れば郷に従うとの考えで、柔軟に対応しながら生活しています。村の生活は、本当にのんびりしていて、幸せだなあと実感します。夕方には、村の子供たちが宿舎に来て、日本語やパソコンを勉強しています。

年間に100名くらいの日本の方、特に大学生、最近では高校生も来るようになりました。そして、時間に追われて過ごす忙しい日本の生活と比べ、「人の幸せとは何か」「豊かさとは何か」について、殆どの訪問者が、そこに疑問や、問題意識を持たれます。是非、皆さんもこの村に来て自分を見つめ直してみませんか。