IMCCD 高山さんからの手紙 #014
マンゴーの季節と地雷処理。
カンボジアには、気を失うくらい美味しい果物が実る
野田塾のみなさん、日本では、春爛漫の季節が、またやって来ましたね。如何お過ごしでしょうか。カンボジアは、一年で最も暑い季節になりました。外気温で40度を超える時もあります。そして、南国の果物のマンゴーの季節でもあります。私もマンゴーが大好きです。畑から採れた完熟のマンゴーは、少し大げさに表現すると、気を失うほどの美味しさです。他には、ジャックフルーツ、ドリアン、マンゴスチン、パパイヤ、ランブータン、ドラゴンフルーツ、バナナなど果物が豊富にあります。
今、私が活動している場所は、カンボジアの北西部のタイと国境を接する地域です。そこには、1970~90年代にかけて起こった、いわゆるカンボジア内戦でポルポト軍や、カンボジア政府軍、そして、ベトナム軍が埋設した地雷や、不発弾が今もたくさん残っています。2006年にここタサエン地区に来て、これまでに処理した対人地雷は2550個、対戦車地雷80個、不発弾1250発、処理面積270ヘクタールで東京ドームの約50個分になります。その他地雷処理以外に、井戸や、学校、道路、日本語教室、パソコン教室、ゴミゼロ運動、日本の会社の誘致など、村人と共に地域が復興するための活動をやって来ました。
恐ろしい対戦車地雷
まだまだ完全とはいきませんが、ここ数年、地雷事故は少なくなってきました。安全な畑が増えて、作物の収穫量も増大したので、少しずつ人々の生活はよくなりました。現在は、他の地区に移動して、地雷処理の活動を続けています。しかしながら、近隣の地域では、トラクターが対戦車地雷を踏み、運転していた村民が大けがをしたり、一箇所から20個の対戦車地雷が発見されるなど予断を許さない状況が続いています。
多数の対戦車地雷
地雷の中でも、一番怖いのは、対戦車地雷です。危険なため、見つけてもその場で処理ができないこともあります。その場合は、地雷を取り除いて他の場所に運搬し、爆破処理をしなければなりません。この間は、民家から10mも離れていない場所に対戦車地雷が埋設されていたため、チームリーダーと私で、除去作業をしました。埋設された対戦車地雷は周囲や、底部に、他の地雷が埋設され、不用意に地雷を動かせば、爆発するようにセットされたものもあります。探知棒で慎重に地中の状況を確認しながら少しずつ土を取り除いていきます。乾季の時は、土が異常に固いので、簡単ではありません。水で土を柔らかくしながら、少しずつ土を除去して、安全を確認します。安全が確認できたら、やっと地雷を動かすことができ、除去が完了しました。チームリーダーと私は、顔を見合わせて「無事に終わったな」と無言で緊張から解放されました。安全な場所に避難していた村人が近寄ってきて、「オックンチュラン(有難うございました)」と言って、私を抱きしめました。
地道な地雷除去を続行
日本人である私に、心から感謝をしてくれたように感じました。「自分の命より大切なものがある」と、思いました。それは、「人々の命」です。地道な作業を、淡々とやる以外に方法はありません。日本の皆様からのご支援で、活動できていることに感謝して、これからもこの活動を続けます。野田塾の皆さんからも、毎年ご支援を頂いています。心からお礼を申し上げます。最後に、皆様からのメールは、とても嬉しくて、有り難いです。時間がある方は、メール下さい。takayama@www.imccd.org いつか、皆さんとお会いできる機会があれば、とても嬉しく思います。