高山さんからの手紙
IMCCD 高山さんからの手紙 #009

IMCCD 高山さんからの手紙 #009

助け合って生きる社会はすばらしい

 野田塾の皆様、こんにちは。カンボジアの高山です。ちょうど今の時期9月下旬から10月上旬は、カンボジアではお盆の時期で、国民あげてお休みです。それぞれ故郷に帰って、家族や親戚一同でお寺に行ったり、ご馳走を食べたりしながら楽しみます。カンボジアには、実に家族や親戚を大切にする文化があります。その光景は、とてもほほえましいものです。村人は私にも、「ター(みんなは私をターと呼びます)は、私たちの家族だ、親戚だよ」と、本当に大切にしてくださいます。心から信頼して、家族の一員として付き合ってくださいます。

タサエンが恋しくなる日本人たち

活動地のタサエン村には、年間を通じて多くの日本人が見学に来られます。日本に帰ってからも、みなさんメールをくださいますが、「タサエンに帰りたい、ホームシックになっています・・・」などと書かれています。私は、このような方を「タサエン病」にかかってしまった方と言っています。

 日本はお金があって、綺麗で、便利で、いろいろ遊ぶ施設があって、何一つ不自由のない環境ですが、そこで暮らしている方々が、日本よりは不便で、病院もなく、道路は砂埃で、雨季にはどろどろになり、お金は食べる分だけ、遊ぶ施設など全くなく・・・そんな環境に、なぜ「恋しくなって仕方ありません」と本心で言われるのでしょうか。それはおそらく、「精神的に心地よい場所」だったのだと思います。

自然の心地よさだけでなく精神的にも心地よいタサエン村

 タサエンに、毎年必ず来られる方も増えました。大学生のスタディーツアーも毎年20人くらい来られます。そして、「1年間、大学を休学してここでインターンとして生活体験、勉強をさせてください」との申し込みも増えました。今年は1人、来年は2人の方が既に決まっています。日本はもう一度、真剣に「人が心地よく生きるためにどうしたらいいか」を考えなければならない時だと思います。

助け合って生きる文化の復活

 東日本大震災の後、みなさんは「助け合って生きる」「他人のことを心配する」気風が出てきたと思います。これが、今日本に一番必要なことなのです。タサエン村を恋しいと言われる方の本当の理由は、皆で助け合って生きているタサエン村の雰囲気が、とても気に入ったからだと思います。日本にもこのような「助け合って生きる」文化、「他人のことや家族や親戚を心配する」文化をもう一度復活させなければならないと思います。そのためには、日本国民の一人ひとりが「助け合いの精神」「少しだけ他人を心配する習慣」を毎日の生活の中で心がけていかなければなりません。

 助け合って生きる文化は、人生を実にすばらしいものにしてくれると思います。みなさん、ぜひ一度、タサエン村に来てカンボジアの素晴らしい文化を体験してください。