IMCCD 高山さんからの手紙 #006
平和構築の種まきをしたい
収穫物に付加価値を
野田塾のみなさん、こんにちは。カンボジアは、5月から10月が雨季、11月から4月が乾季です。雨季には農作物が青々と育ちます。
私が活動しているタサエン村では、地雷が除去され安全になった畑に、ダムロンという芋(キャッサバともいいます)や、とうもろこし、大豆、小豆などが植えられています。ダムロン芋は、12月から3月頃に収穫されますが、タイの大型トラックが毎日村に来て、買って帰ります。昨年は、1トンが7000円程でした。このダムロン芋に付加価値を付けて売れば、もっと村が豊かになると思い、3年ほど前に焼酎作りを思い立ちました。
芋焼酎造りを地場産業に
カンボジアでは、米から焼酎を造ることは行われていたようですが、芋では造られていませんでした。私は、愛媛県松山市で創業されている酒造会社「桜うづまき」の社長さんに芋で焼酎を造ることを教えてもらい、米焼酎を造っている村の農家のおばさんに、その方法を伝えました。現在では会社を立ち上げ、カンボジア人4人が、毎日焼酎造りに頑張っています。工場の規模は、蒸留釜4基、1000リットルのもろみタンク8個で、月に1000リットル以上を生産することが出来るようになりました。まだ本格的な販売体制にはなっていませんが、飲んだ人から「こんな美味しくて、飲みやすい焼酎は初めてです。」と言われています。年明けくらいからカンボジア国内で販売をすることになると思います。私はこの焼酎造りには直接は関わりませんが、日本の技術と資本で当面は立ち上げていかねばならないと思っています。焼酎の名前は「ソラークマエ」と命名されました。意味は「カンボジアの酒」という意味です。世界中の人々が飲んでくださる「カンボジアの美味しい焼酎」となれば最高かなぁと思います。
戦争のない社会を
芋焼酎造りは、試行錯誤をしながらやっていかなければなりませんが、カンボジアの地場産業の発展に繋がり、村人の生活が少しでも向上すれば、こんな嬉しいことはありません。内戦の深い傷跡が残る村が、自立した復興を成し遂げれば、世界のみなさんに「戦争のない社会がどんなに大切か」をアピールできるモデル地域になるだろうと思います。村の人たちからは「戦争がない今はとても幸せです。」と言われます。
私は、タサエンで地雷処理活動をしながら、地域の自立した復興を手伝っていますが、「世界中から戦争をなくすにはどんな手段があるのだろう」と考え、最近では『平和構築理念の種まきをしたい』と強く思うようになりました。 タサエン村から、幸せの象徴として、「ソラークマエ」の焼酎が生まれ、笑顔が笑顔を呼び、『平和構築理念』について、世界の人々が深く考える時代が到達すれば、種から芽が育ち大きな大木になるだろうと、一人カンボジアで考えています。